隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】

「私、ちょっと探してくるよ!」


「え、でも、綱引きもう始まってるよ?」


「そうだけど~…でもちょっと心配だし、行ってくる!」



なにかトラブルに巻き込まれてる可能性だってあるしね!

あの見た目じゃ、不良に絡まれててもおかしくないもん……。



とにかく、サボってるにしろ、無事を確認しないと心配だ。



今日は外部からも沢山人が来ているため、グラウンドは大変混雑をしている。

生徒の家族だったり、学校の卒業生とか。



これだけ人がいっぱいいると、どこにいるか全然分かんないや……。

そもそも、歩くことすら大変なくらいだし。



唯奈ちゃんの言う通り、あの姿ならすぐ見つけれると思ったんだけどなぁ。

背も大きいし、ある意味目立ってるから。



人にぶつからないよう、間を掻き分けながら探す。



私にもう少し身長があれば、上から探せるんだけどな~……!



弱音を吐きながらも、探すことを諦めない。



しかし、あっという間に時間は過ぎてしまい、綱引きは最終戦を迎えていた。



うーん、やっぱりどこにもいない。

これだけ探していないってことは、グラウンドにはいないのかな?



たとえば、人の少ないところでサボってるとか……?



……となると、ありえるのは……教室だ。



今日は校舎には数人の先生しか残ってないし、もしサボってるとするなら、教室にいるに違いない!



よしっ、教室に行ってみよう!

斎宮くんのことだし、自分の席から優雅に眺めているに違いない。



くるりと方向転換をし、校舎へ進行方向を変える。



すると……



「きゃっ!」


「わっ、とと」



誰かにぶつかってしまった。