隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】

棒取りは白熱した試合を繰り広げていた。

あちこちで砂煙が舞い、怪我をした生徒もいるみたいだ。



時々、暴言のような声も聞こえてくるけど、唯奈ちゃんじゃないよね…?



ドキドキとしながら、その行方を見守る。



そして、パーンッ!と終了を合図するピストル音が響く。



「え~ただ今の勝負、7-12で白組の勝利です!」



その瞬間、白組テントは溢れんばかりの声で湧き上がる。



やった!白組が勝った!

さっすが唯奈ちゃんだ!



帰ってきたら、私の愛情いっぱいのハグでお迎えしてあげよう!



そして棒取りから帰ってきた唯奈ちゃんを笑顔で迎える。



「お疲れ様、唯奈ちゃん!」


「あ、楓音。見ててくれたんだ」


「もちろんだよ!唯奈ちゃん、すっごくかっこよかったよ」



さすが私の唯奈ちゃんだ!と、抱きしめようとすると、今日も丁重にお断りされた。

……最近私、唯奈ちゃん不足だよ?



「あ~さすがに本気出したから、汗かいたし疲れた。もう動きたくない」



汗をかいたという割には、お化粧が一ミリも崩れてないよ!?

さすが唯奈ちゃん……お化粧に抜かりはないですね。



パタパタと手で仰いであげていると、



「そういえば、楓音の両親きてたね」


「……うん、私も知らなかったからびっくりしちゃった」