隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】

私だってまだまだ甘えん坊の子供だ。

だからお母さんたちに会えて、嬉しくないわけがない。



まだ時間があるということだったので、私たちは新婚旅行の話や学校生活の話をした。



一度話してしまうと、次から次に話したいことが出てきて、つい長居をしてしまっていた。



「あら、あそこにいるのって坂巻さんの子の…唯奈ちゃんじゃない?」


「あっ!ほんとだ!やばっ、もうこんなにプログラム進んでたんだ!」



いまから棒取りが行われようとしており、出場選手である唯奈ちゃんの姿があった。



「じゃあ、私たちはそろそろ帰るわね」


「体育祭、最後まで楽しんでね」


「うん、ありがとう!またね!」



お母さんたちと別れ、私は急いで白組のテントへ戻る。



テントの前では応援団長を筆頭に、応援する準備が始まっていた。



テントの中は混雑しており、自分のクラスへ戻るのも一苦労だ。



……あれ、斎宮くんがいない。

どこに行ったんだろう……?



テントの中をキョロキョロするが、どこにもいない。



トイレにでも行ってるのかな?

ダンスのことを謝ろうと思ってたんだけど、戻ってきたら話せばいっか。



そうこうしていると、棒取りが始まった。



あっ、唯奈ちゃんを応援しなくっちゃ!



そこら中から応援の声や、歓声が響く中、必死に私も声を出す。



「頑張れーっ!頑張れ白組!とくに唯奈ちゃーん!負けるなぁー!」