隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】

熱烈ラブコールを送るお母さんの隣で、優しく手を振るシンジさん。



「楓音ちゃん、頑張ってね。僕たちも応援してるよ」


「楓音ちゃんの晴れ姿は、ばっちり写真撮ってあげるからね!」



ちょっと待って……!

そんなことは今はどうでもいいよ!



新婚旅行はどうしたの!?

なんで、ここにいるの!?



言いたいことも聞きたいことも山ほどあったが、ダンスの音楽が流れ始めてしまった。



「頑張れ楓音ちゃん~!」



お気楽な夫婦は人目も気にせず、大声で応援するから、変に目立っていた。



もーうっ、お母さん!

その絢爛豪華な日傘はなに!?

来るなら、もう少し控えめな恰好で来てよ~……。



こうして、お母さんたちに翻弄され、ダンスは散々な結果で終わってしまった。



正直、踊ってる最中の記憶があまりない。

思い出せるのは、お母さんまで何故か踊っていた光景……。


……最悪だっ!



開会式が終わると同時に、観客席へとダッシュで向かう。



もちろん、お母さんたちを問い詰めるためにだ。



借り物競争は最後の方だし、話すならこの時間しかない。



「みつけた!ちょっと、お母さんたち!なんでここにいるの?」


「あっ、楓音ちゃん久しぶり!って、そうでもないかな?」


「ダンス上手に踊れてたよ。あとで写真送ってあげるね」