隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】

すると、斎宮くんは子猫を抱いたまま立ち上がる。



「えっ、もう帰るの?」


「逆にこれ以上、この場にいる意味ある?」



……それは、そうなんだけど。

雨も結構強くなってきたし……。



「せっかく斎宮くんと話せたのにな~って思って……?」



チラッと目線を上げてみるが、斎宮くんは私の方など一切見向きしない。



久しぶりに話せたと思ったんだけどな。

……やっぱり冷たいや。



学校でもそうだったけど、今でもなんていうか、少し距離を感じる。

あの時は、近づけたと思ったんだけどな。



「その猫ちゃん飼うの?だったら、今度斎宮くんのお家に」


「あのさ、なんなの?」



突然、私の言葉にかぶせて話す。



その声色はピリッとしていた。



「……毎日毎日、俺に何回も何十回も話しかけてきて。俺にどうして欲しいの?なにが望みなの?こんなとこまで来てさ……正直迷惑なんだけど」


「ここに来たのは、だから、本当に偶然で……」


「……あんま調子乗らないでね。俺の秘密知って、俺が朝桐に気を許すとでも思った?俺が好きになるとでも思った?」



斎宮、くん……?

なに言ってるの……?



「百パーセントあり得ないよ。自分だけが特別とか思わないでね。勘違いして付きまとわれるのも迷惑だし、俺にこれ以上構うのもやめてほしい」



吐き捨てる斎宮くんの目は、私じゃなく地面へ向けられていた。



奥歯をグッと噛みしめ、胸に何とも言えない痛みを感じる。



……だから斎宮くんはずっと不機嫌だったんだね。

やっと斎宮くんの気持ちが分かったよ。