◇◆斎宮SIDE◆◇
バタンッ、と閉まる音を聞いて身体を起こした。
……よし。
誰も居なくなったことを確認して、メガネに手を伸ばす。
……いつ見てもぶ厚いなぁ。
伊達メガネだから度は入ってないけど、もう少し普通のやつにすればよかったかな。
これじゃあ、逆に目立ってる気がする……。
そして、レンズを拭きながら思い返す。
朝桐、楓音……。
変わったやつだった。
想像の五倍…いや、十倍くらい。
……そもそもどうして俺は、女に自分から関わってるんだ。
そのせいで、顔は見られるし、交換条件交わすことになるし。
はぁ……。
朝桐のせいで、どうも調子を狂わされてる気がする。
少し前に急に学校に来るようになって、俺にしつこく話しかけてきてさ。
……ほんと、変なやつ。
今までは隣がいなくて快適だったのに。
今じゃ、真逆だ。
毎日がうるさくて、迷惑してる。
極めつけはあの日。
いつもみたいクラスの女が仕事を押し付けてきた日。