隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】

落ち込む私と、気まずそうな顔をする斎宮くん。



少し間を空けたあと、折れたようなため息が聞こえた。



「……分かった。友達になるよ」


「えっ!ほんとに!?ほんとのほんと?」



いま…友達になるって言ったよね……?

私の聞き間違いじゃないよね……!?



「それが交換条件、でしょ?」


「うんっ!やったぁー!ありがとうっ、斎宮くんっ」



さっきまで落ち込んでいた自分はどこへやら。



顔いっぱいに満面の笑みを浮かべ喜ぶ。



「話しはもういい?俺は保健室で寝てくから」


「ええっ!授業出ないの?」



と、聞き返した時には、すでに布団にINしていた。

……いつの間に、寝る体勢になってたんだ。



まぁいっか。

私は一人で教室に戻ろっと。



「じゃあね、斎宮くん。また後でね~」


「……」



え、もう寝た?

……って、そんなわけないよね。



友達になったはいいけど、結局なにも変わんないような……?



嫌な予感がチラつきながら、ベッドの横を通り過ぎる。



……あれだけ秘密って言ってた割に、意外と危機感ないよね。



傍らに置かれたままのメガネをみて思う。



って、急がないと授業が終わっちゃうよ……!

ひぃ~!急がなくっちゃ~……!



保健室のドアをゆっくり閉めると、誰もいない廊下を全力ダッシュして、教室へと戻った。



……授業が終わる直前に到着した私は、先生にこっぴどく叱られたのであった。