隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】

「話しは終わったから、戻りたければ」


「斎宮くん!!私、朝桐楓音はここに交換条件を提示します!!」


「は?交換条件…?」



眉をピクリと動かし、顔をしかめる斎宮くん。



「うん!私から斎宮くんにお願いしたいことがあったの!」


「……その条件ってなに?」



ふっふっふ…と嘘くさい笑い声をあげていると、冷たい目線が突き刺さる。



……斎宮くんはジョークが嫌いなのかな。

ちょっとしたボケのつもりだったのにぃ。



わざとらしくゴホンッと咳払いをすると目を輝かせた。




「私と友達になってくださいっ!!!」




「……は?」



鳩が豆鉄砲を食ったよう、とはまさに今の斎宮くんのことを言うだろう。



「私、斎宮くんと友達になりたいの!だから、素顔のこと誰にも言わないから、私と友達になろっ!?」



へへーん。どうでしょうっ、このグッドアイデアは!



なんだか脅すみたいでちょっと心苦しいけど。

こんな機会二度とないし、秘密を共有し合う者同士仲良くなるチャンスだ。



「……それ、マジで言ってる?」


「うん!もちろん本気だよ!」


「なんで友達?……お前、友達いないの?」



ちょっ、そんな哀れんだ目で私を見ないで……!

さすがの私も傷ついちゃうから!


「と、友達はいるよ!?ひ、一人だけ……。ていうか、また私のことお前って呼んだね!?」



再びムッと頬を膨らます私を、呆れた目で見る斎宮くん。



さっきみたいに、朝桐って呼んでくれればいいのに。

……下の名前で呼んでくれたらもっと嬉しいけど。