隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】

「おい!斎宮!なんでアンタがここにいるのよ!?」


「そ、そーよ!ここ女子トイレなんだけど!?」



真山さんたちも驚きの声をあげ、トイレは混沌の空間へと変わる。



「いっ、斎宮くん……なんで……」



斎宮くんの背中はとても男らしくて、とても大きくみえた。



そして私を守るみたいに、真山さんたちから自分の背中へ隠してくれていた。



―――ドキッ。



小さな鼓動の音がどこからか聞こえた気がした。



「……これで、気が済んだ?」


「はぁ!?気が済むわけないでしょ!なに邪魔してくれてんのよ!」



バケツが勢いよく床へ叩きつけられる音が響く。



「……はぁ、うるさいな…」


「……え?」



ぼそりと呟かれる低音の声。

叩きつけられた音に交じって、微かに聞こえた。



いっ、いまの声って……斎宮くん……?



「由紀!そろそろ昼休み終わるし戻ろ?見回りの先生が来ちゃうよ!」


「もうそんな時間……!?あ~もうっ!ムカツク!覚えてなさい!アンタらのこと絶対許さないから!」



そう言い捨てると、真山さんたちはそそくさと撤収をした。



そして、突然やってきた静寂な空間。

この場に残される、私と斎宮くん。



色んなことが起きすぎて、正直頭の中はパニックだった。



「い、斎宮くん……私たちもとりあえず教室に…」



言いかけたところで、斎宮くんの制服の袖から、ポタポタと雫が垂れていることに気がつく。