隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】

「もーうっ、遅いよ由紀~」


「待ちくたびれちゃったじゃん」


「ごめんごめん。こいつがどんくさくてさ~」



押し込まれた女子トイレの中には、複数の女の子の姿が。



見たことない子もおり、別のクラスかな?と冷静に分析をしていたが、いまはそんなこと考えてる場合ではなかった。



……私、とんでもなく危ないところに連れて来られてない!?



一階の一番奥に位置するこの女子トイレは、まず人気がない。



位置的に、体育館が最も近く、体育館を利用する生徒くらいしかここを通らない。



しかも昼休みとなると、体育館は閉め出しをしており、ここは誰も来ない無人の地となる。



そんな場所に、私を嫌う女の子たちと、いきなり連れ込まれた私……。



……これ、ドラマとかマンガでよく見るアレじゃないよね!?



危機管理能力が発動し、逃げようと踵を返すが、すかさず真山さんが立ちはだかる。



「どこ行く気?」


「いやっ、その……ちょっとトイレに……」


「トイレなら目の前にあるでしょ」


「……」



ズバッと正論を言われ口を閉ざす。



しまった……言い訳間違えちゃった……。

こんな時まで、私のアホアホっ!



「私さぁ前からアンタのこと、すっごく気に食わなかったんだよね」



緊張し強張る私を前に、真山さんは舌打ち混じりに話しだす。