隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】

「正々堂々と勝負がしたくなったんだよ」


「え?」



太陽くんの声があまりにも真っすぐで力強くて思わず顔を上げた。



「俺っ、本気で楓音が好きなんだ。だから、楓音に自分の気持ちを殺させてまで、無理矢理俺と付き合わせて、本当にそれでいいのかすっげー悩んだ」



そんなっ、私は……っ。



「……このまま付き合っていたら、楓音はいずれ俺のことを好きになってくれるかもしれない。なにも知らない斎宮は、このまま消えてくれるかもしれない。そう思ってた」



……そんな辛そうな顔しないでよ。

私からどんな言葉をかけたらいいのか、分かんなくなっちゃうよ。



「でも、やっぱりダメだ。楓音の気持ちを踏みにじってまで、俺に縛り付けることなんて出来ない。俺は、間違ってた。辛い思いさせてごめん、楓音……」



そう謝る太陽くんの声はとてもか細く、肩も震えていた。



……そっか、太陽くんも傷ついてたんだね。

太陽くんも自分を騙して嘘ついて、辛い思いしてたんだね。



気持ちを打ち明けてくれてありがとう。



私は下向く太陽くんの手を握り、力強く言った。



「ううん!太陽くんは悪くない!太陽くんといた時間は本当に楽しかったし、嬉しいこともいっぱい言ってくれた。私、全然辛くなんてなかったよ」



太陽くんにはいっぱい感謝してる。



こんな私のことを好きになってくれて、本当にありがとう。

あの時、誰よりも早く、私のところに来てくれてありがとう。



「……そっか。あーあ、俺こんな当て馬キャラじゃないのになっ~」


「へ?」


「短い間だったけど、楓音と付き合えて楽しかったよ。本当にありがとっ」



そういう太陽くんの顔はどこかスッキリしていて。

これ以上、なにか言う必要はないみたいだった。



だから私はただ大きな笑顔を浮かべて「うん」と大きく頷いたのだった。