―――お昼休み。
「みてみてっ、斎宮くんっ!今日のお弁当自分で作ってみたんだぁ」
「……そうなんだ」
と、相槌をしてくれるものの、私との温度差が激しい。
……ねぇ。私のお弁当一瞬も見てないよね?
斎宮くん、ずっと自分のお弁当に視線向けてたよね!?
酷いっ!適当に相槌したんだなっ!
……いや、待てよ?
そのぶ厚いメガネの中から、私のお弁当を見ていたのかも!?
……その可能性は否定できない!!
対して、私のテンションはいつもハイだ。
「今まではコンビニご飯だったけど、他に作ってくれる人もいないし、節約のためにも自分で作らないとね~」
モグモグッ……うんっ!この唐揚げ最高にジュゥシィ~で美味しい!
あっ、そういえば二、三日前にお母さんからメールが届いたんだよね。
『シンジさんと一緒にドバイにいるよっ♪
はい、これお裾分け♪ これで気分だけでも味わってね~』
ドバイのプールに浸かる、夫婦の写真が添えられていた。
……あれ?娘の心配は?
別れてからの初メール……だよね?
とにかく、お母さんたちはまだ暫く帰って来なさそうなので、身の周りのことは全部自分でやらなければいけない。
家事がこんなに大変だったなんて知らなかった……。
あぁみえてお母さんは、ちゃんと家事をこなしていたのかと思うと尊敬するね……。
ちなみに、すぐさま『いつ帰って来れるの?』と返信したが、いまだに返事は返ってきてない。
…うん、思う存分楽しんでるんですね。