私たちへ近づく足音の主は……



「たっ、太陽くん……」


「あっ、こんなところにいたんだ」



いま最も顔合わせしたくなかった人物。



その姿をみて、一瞬震えてしまう。



どっ、どうしよう…。

斎宮くんと二人でいるところ、見られちゃった……っ。



「玄関にいると思ったらいないし、探したよっ。あれ…そこにいるのって斎宮、だよね?」


「あっ、うん!そうそうっ。その、病み上がりで体調が悪そうだったから、保健室まで付き添ってあげてたの……」



必死になにか言い訳を繰り返す。

じゃないとこの空間は耐えられそうになかった。



「そうだったんだ。大丈夫?」


「……」



声をかけられても斎宮くんはなにも返事をしない。

この場を微動だにしになかった。



とっ、とりあえず、今はこの場を離れるのが先決だよね……っ。



なんだかこの場に長居するのはよくない気がしていた。



「じゃ、じゃあ私はもう帰るね!身体には気をつけてね、斎宮くん」



……私っ、さっき斎宮くんに何を言おうとしてたんだろう。



あのまま太陽くんが来なかったら、私、なにを……。