あの時、太陽くんに伝えたのだ。



『このことは斎宮くんには絶対言わないで!』って。



斎宮くんが、この現状を知ったら、なんていうか分からない。

……もしかしたら友達でいられなくなるのかもしれない。



そう思うと怖くて。

だから本当のことなんて、言えるはずもなくて。



このまま隠し通そうって思ったんだ。



……なんか私って、隠し事ばっか。

嘘つくの苦手なくせに、嘘を固めてばっかだね。



……なんだかちょっとだけ息苦しい。



「朝桐……なんかあった?」


「へ……?」



メガネの奥から覗く瞳は、真っ直ぐに私を映していた。



優しい声色は、私の心に温かく届いて。



その一言だけで、思わず涙が出そうになった。



「なにか俺に隠してない?」


「か、隠してなんかないよ!なんにもない!」



だ、だめだっ。

泣いちゃ、だめ……!



ここで泣いたら、それこそもっと怪しまれちゃう。