……そっか斎宮くんはこの前寝てたし、それに最近もずっと体調不良だったから。

太陽くんと話すのは今日が初めてだったんだ。



「じゃ、また後でね楓音」


「うん、またね太陽くん」



手を振る姿を見終えると、ギョッとする。



「えっと……斎宮、くん……?」



そっぽを向いたはずの斎宮くんが、何故か私の方を見ていたのだ。



びっ、びっくりした。

ジーっと見つめて、なにか用かな…?



「……名前で呼んでるんだ」


「へ?な、名前?」



聞き返すと、どこからか舌打ちのような音が聞こえる。



えっ…もしかして、いまの舌打ちって斎宮くん……?



「……俺の知らない間に、仲良くなったみたいだね」


「…あ~うん?そ、そうだね。太陽くんいい人だから……」



何だか視線を合わせるのが気まずくて伏目がちになる。



……斎宮くんは、もちろん知らない。

私と太陽くんが付き合い始めたことを。



そして、太陽くんが斎宮くんの正体を知っていることを。