「……朝桐ってさ、最初から思ってたけど、神経図太いよね」



……え?

感謝されたかと思えば、今度は貶されてる……?



「どんだけ無視しても話しかけてくるし、俺に関わろうとしてくるし。正直、鬱陶しかった。頭おかしいやつって思ってた」


「そ、そうだったんですね……」



……やっぱ迷惑がってたんだね。

なんとなく分かっていたけど、改めて言われると傷つく…。



「しかも俺と友達になりたいとか言って、ぶっちゃけ口ではそう言うだけで、俺の顔目当ての女かと思ってたし」



う、うん?

そうだったんだね?



「……でも、朝桐は俺の思ってたのとは全然違った。真逆だった」


「真逆……?」



聞き返す私には触れず、続けて言葉を紡ぐ。



「バカで、アホで、真面目で。……いつからか、ほっとけない存在になってた」



……へっ……。



「……体育祭の時、保健室で言ってたウソなんだけど」


「う、うん」



いつの間にか、心臓は激しく鼓動を作ってて。

斎宮くんの声に、言葉に、全意識が持っていかれてて。



保健室の外から聞こえる声など、なんにも耳に入らなくて。



斎宮くんのことで頭がいっぱいになっていた。



目の前にいる、斎宮くんで、私の全部が溢れていた。