女の子たちは日誌を斎宮くんの机へ放り投げると、気分高らかに教室を出て行こうとした。



「ちょっと待って……!」



女の子の腕をギュッと掴み、その場に引き止める。



「……は?なに?」



振り返る女の子は鋭い目つきを向ける。



こっ、怖くなんかないぞ……!


ビビるな、負けるな……!



自分を奮い立たせ、斎宮くんの机に置いてあった日誌を掴むと、バンッと女の子の胸に押し返した。



「に、日直をムリヤリ押し付けるのはよくないと思う……!」


「は?意味分かんない。押し付けてなんかないけど。それに斎宮はわかったって言ってんじゃん」


「あんな怖い態度されたら、嫌でも断れないと思う……!だからっ、斎宮くんにやらせるのは違うよ……!」



自分でもよくここまで言えたなって、正直びっくりしてる。

多分、いまの私、アドレナリンがわんさか出てる。



そんな私の態度が癪に障ったのか、女の子が声を荒げる。



「うるっさいんだよ!だったらアンタが代わりに日直を」


「おーい、喧嘩か?廊下まで声が響いてたぞ」



その時、様子を見に来た先生が教室へと戻ってきたのだ。



先生ぇぇぇ~!!

ナイスタイミング……!

よくぞ、戻ってきてくれました!



女の子からは、舌打ちとため息の声が聞こえる。



「……はぁ、うざ。やればいいんでしょ、やれば」



そして女の子は悪態をつくと、周りにいた子たちも引き連れ、この場を離れたのだった。