「……熱なんて、ない」



そう答える声はたどたどしくて。

あきらかにいつもと様子がおかしかった。



「そんなバレバレな嘘つかないでよっ。ほら、保健室行こう?」



朝からこんな調子ってことは、もしかして昨日から熱があったんじゃ……。



それで、素っ気なかったり、早く帰ったりしてたのかな。



「……大丈夫だって…」


「ダメ!私も一緒に付き添うから行くよ」



こんな苦しそうにして大丈夫なわけないじゃん…!

無理矢理にでも、保健室へ連行しないと……!



そして、嫌がる斎宮くんを無理矢理立たせ、肩を貸してあげる。



……平然に、平然よ。



心の中で自分の心臓に言い聞かせるよう唱えておく。



「……お節介め」


「はいはい。文句は保健室についたら聞いてあげるからっ」



文句を言う斎宮くんを受け流し、保健室まで一生懸命運ぶ。



……斎宮くんの身体、すっごく熱い。

きっと身体中に熱が籠ってるんだよね。



意地張ってないで、辛いなら辛いって言えばいいのに!

そもそも、どうして学校になんて来てるんだか。

これはお家で休むレベルの具合だからね……!!



心の中で文句が止まらないが、これは斎宮くんを心配しているからであって。

だからこそ、自分を大切にしない斎宮くんにちょっぴり怒っているのだ。