隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】





あっという間に放課後を迎えた。

私は再び平賀くんと校内を歩いていた。



もう一度、斎宮くんを誘ってみようとしたが、HRが終わった途端、そそくさと帰ってしまったため、誘うことが出来なかった。



……やっぱまだ機嫌が悪いのかな?

うーん……全然心当たりがない……。



ちょっと気になるけど、いまは気持ちを切り替えないとね。



「ここから真っ直ぐ行くと体育館があるよ。放課後は基本、閉め切ってあるから授業の時か部活動で使う人しか入れないけどね」


「なるほどねっ。朝桐さんって、部活入ってんの?」


「いや、私は帰宅部ってやつです。運動が少々苦手でして…」



……少々なんて可愛いレベルじゃないけど。



「平賀くんは、前の学校では部活入ってたの?」


「もちろんっ!バスケ部に入ってたんだよね。だからこっちの学校でも入ろうか迷い中」



へぇ、バスケ部か。

平賀くん背高いし、見るからに運動出来そうだもんね。



バスケやってる姿なんて、きっとカッコいいんだろうな。



女の子たちがキャーキャー騒ぐ姿が目に浮かぶよ。



「てかさ朝桐さんのこと、楓音って呼んでいい?」


「……えっ!?ど、どうしたの急に?」



突然下の名前を呼ばれ、目をパチパチさせる。



「…いや、その~なんていうか?早く朝桐さんともっと仲良くなりたいからさっ。……駄目、かな?」



ポリポリと頬を掻き、恥ずかしさを紛らわせているように見えた。



「そ、そっか。うん、いいよ」



そう答えると、平賀くんはパッと表情を明るくさせる。



「やった!ありがとう、楓音」


「うっ、うん……」



や、やっぱり男の子に下の名前で呼ばれると、慣れないせいか緊張しちゃう。

平然を装わないとね……。