嫌いになれなくて、ごめん

「してないよ。じゃあ今度見せて翼の走ってるとこ」
「いいよ。この前の検査結果次第だけど少しなら許可貰えそうだから」

「そうなんだ」
「完走できて、且つ10秒切ったらカフェオレな」
「なんでそうなるの?」

50メートルで10秒なんて本当に小学生レベル…
だけど彼にはこれが精一杯なのを私は知っている。
勝手に小指を絡ませ「約束な!」そう言ってニコリと笑った。

「参考書取ってくる」
そう言って翼は保健室を出て行った。