嫌いになれなくて、ごめん

『つー、ごめんね。あなたの事何も知らなかった…』
しばらく付き添っていたけれど目覚める気配はない。

「どう?翼」
「…大輔。まだ寝てる」
「そうか…時間平気なのか?」
「ん?うん…」
「帰ってもいいぞ」

翼の様子を確認して大輔がそう言った。
「もう大丈夫だ。お母さんにも連絡ついてるし」
大輔の言うように、いつまでもここにはいられない。学校に報告もいるし、仕事も残っている。

「…じゃあ、帰るね」
「うん。ありがとな千尋」
「つーのこと、お願いね」
軽く手を振って大輔と別れ学校へ戻った。