嫌いになれなくて、ごめん

夏休みが終わり学生たちは2学期を迎えた。
ヒロ達2年生は目の前に迫る修学旅行という一大イベントにソワソワしていた。

ヒロたちとは対象的に引率する私は準備に追われバタバタしていた。

その日、ノックも無しに突然開いた扉に驚き出入口を見ると翼が入ってきた。
けれど明らかにいつもと様子が違う。
荒い呼吸でフラつく足取り、自分の体重を支えることが精一杯のようで入ってくるなりソファに倒れ込んだ。

「翼!大丈夫?」
「…ちぃ姉…はぁ、水もらえる?」
「み、水?待ってね」

翼はカバンの中から乱暴に薬を取り出し一気に流し込んだ。
「……はぁはぁ、ここでいいから…休ませて」
どうする事もできずベッドから毛布を持ってきて足元にかけ、背中をさすった。