嫌いになれなくて、ごめん

二限目の授業が始まり少しした頃、扉がノックされ翼がやってきた。
この時間、翼のクラスは体育ではなかったはず。

「先生、少しだけ休ませて下さい」
そう言って翼はそのままベッドへ倒れ込んだ。

「いいけど、そんな寝方じゃ風邪ひくわよ。きちんと布団を被りなさい」
ベッドの方へ行き声をかけるとモゾモゾと動き忠告通り布団へ潜った。

彼は時々、今日みたいに頭痛を訴えやってくる。大抵の場合は少し休んで教室に戻る。
休んでも改善しない場合はそのまま早退となる。養護教諭の私にできる事はたかが知れている。
それでも私を頼ってやってくる。

静かな部屋で書類のまとめをしていると翼の寝息が聞こえてきた。