「いつも優しいところ。意地悪なところ。意

地悪の後に髪を撫でてくれるところ。美味し

いご飯が作れるところ。私にだけ甘いとこ

ろ。照れると顔が赤くなるところ。いつも私

を守ってくれるところ。私が作った料理を美

味しそうに食べてくれるところ。歩幅を合わ

せて歩いてくれるところ。周りの人をとって

も大事にしてるところ。いっぱい好きって言

ってくれるところ…って一個多く言っちゃっ

た…!!」

指を折って数えていたくせに、多く言ってし

まって焦るもも。こんな具体的に言われると

恥ずかしいもんだな…。

「オレのこと、大好きなんだな。」

「当たり前だよっ!10個なんかじゃ足りな

いんだもん…。」

いつも可愛すぎることを平気で言ってくるん

だよな。地雷を踏んだのはオレだな。

ももを好きすぎている自分に心底呆れる。

「次、あっち行くか。」

「蓮人も10個言ってよ~!」

立ち上がったオレの手を掴んで、上目遣いで

頼んでくるもも。

「後でな。」

「ずるい~!」

10個に収まるわけないだろ。だから、一生

かけて伝えてやるよ。

「楽しかったぁ!連れてきてくれてありがと

う!」

「もう一か所、連れていきたい場所があるん

だけど、いい?」

ももは不思議そうにしながらも、頷いてくれ

た。いよいよ、勝負の時だ…。

「えっと…ここ?」

「そう。ほら、入って。」