青田さんからの突然の質問。

『男性との無断交際禁止。』

「うぅ…。いないです…。」

お父さんとの約束を思い出して、こう答える

べきだと悟った。別に好きな人がいるってわ

けじゃないんだけど。

「ほんとか？」

ちょっと濁したような答えになったからか、

黒宮さんも青田さんも疑いの目を向けてく

る。

「ほんとですよ！ただ…。」

私は、二人にお父さんとの約束の話をした。

「なるほどね…。」

「まじかよ…。」

二人の反応は思った以上に深刻で。

「お二人とも！そんなに深刻にならないでく

ださい！」

本当に二人とも優しすぎるよ。

「恋したいとかは思うの？」

青田さんの質問の答えは。

「もちろんです！」

私も16歳だもん。彼氏とデートとかしてみ

たいよ。

その日は、3人で恋バナをしていた。

「じゃあそろそろ帰ります！明日シフト入

っているので、よろしくお願いします！」

青田さんに挨拶をしてから、黒宮さんとお

店を出た。

「家まで送る。」

黒宮さんはいつも家まで送ってくれる。

特に話すこともなくて、黒宮さんの一歩後

ろをゆっくりついて歩く。

黒宮さんの後ろ姿、好きなんだ。

カフェに向かうときは隣を歩いて、カフェ

でも隣に座る。

家まで送ってくれるこの時間だけ、背中を

見るの。