「大丈夫だよ…?」

「よかった。ももが可愛すぎて歯止め効かな

かった。」

「ちょっと…!」

よくもそんなに恥ずかしいことを…。

「あれでも結構手加減したつもりなんだけ

ど。」

真顔に見えるけど、これは私を恥ずかしがら

せる時の顔だ。このほんの少しの表情の違い

がわかるのも、私だけなのかな…。そうだっ

たらいいなぁ…。

「なににやついてんの。変態。」

「へ!違うよっ!」

「ばーか。必死になりすぎ。」

私の髪を一本一本梳かすように優しく撫でて

くれる。

意地悪なのに、髪を撫でる手は優しくて。

話し方は冷たいのに、心は温かくて。

人付き合いに無頓着なくせに、とろけるほど

甘い言葉をくれて。

「蓮人のこと好きすぎて、ちょっと悔し

い。」

一生かかっても嫌いになれそうにない。だか

らこの強がりも受け止めて。

「そんなこと言ってると襲うぞ?」

「ばーか。」

「オレの真似だろ。」

「ふふ、ばれた?」

この先もオオカミさんには敵いそうにないけ

ど、何度も愛してしまうんだろうな。

「もも、愛してる。」

「私も。蓮人だけを愛してるよ。」

重ね合った唇から、私の愛が余ることなく伝

わるように。

蓮人の愛を零すことなく受け止められるよう

に。

聖なる夜。

この幸せを蓮人と二人で守っていけますよう

に。

愛する人の腕の中で、そっと願った。