蓮人の過去を聞いたみんなは驚き固まってい
た。蓮人が取り乱すことなく話してくれたか
ら、私も冷静を取り戻した。
「ねぇお父さん。たった16歳の私だけど、見
つけたものがたくさんあるよ。」
家族との当たり前の日常がどれだけ幸せなこ
とかも、何気ない毎日の中に、夢への第一歩
が隠れていることも、恋は楽しいだけじゃな
いことも、愛する人の「好き」って言葉一つ
で、強くなれることも…。
たった半年の中で、みんなが教えてくれたこ
とが数えきれないほど溢れ出してくる。
「不安でだらけで始まった東京の生活の中で
知ったの。自分から動き出さなきゃ、夢も恋
も、何も始まらないことを。それを教えてく
れたのは、高校でできた友達、バイト先の先
輩。そして、蓮人。」
私は蓮人を見上げて、手を握る。もう家族の
前なんて関係ない。この手を離さないって私
は決めたんだから。
蓮人は一瞬驚いたけど、すぐに優しい微笑み
を浮かべて、手を握り返してくれる。
私は、手を繋いだまま言葉を紡いでいく。
「お父さんやお母さんにとっては、いくつに
なっても子どもかもしれないけど。だけど、
私はもう自分の力で人生を選べる。私は蓮人
の隣で生きていくことを選びたい。」
私の話を黙って聞いていたお父さんが、椅子
から立ち上がり、私たちを横切っていく。
これは、帰れってことなのかな…。零れそう
な涙を必死に堪える。
た。蓮人が取り乱すことなく話してくれたか
ら、私も冷静を取り戻した。
「ねぇお父さん。たった16歳の私だけど、見
つけたものがたくさんあるよ。」
家族との当たり前の日常がどれだけ幸せなこ
とかも、何気ない毎日の中に、夢への第一歩
が隠れていることも、恋は楽しいだけじゃな
いことも、愛する人の「好き」って言葉一つ
で、強くなれることも…。
たった半年の中で、みんなが教えてくれたこ
とが数えきれないほど溢れ出してくる。
「不安でだらけで始まった東京の生活の中で
知ったの。自分から動き出さなきゃ、夢も恋
も、何も始まらないことを。それを教えてく
れたのは、高校でできた友達、バイト先の先
輩。そして、蓮人。」
私は蓮人を見上げて、手を握る。もう家族の
前なんて関係ない。この手を離さないって私
は決めたんだから。
蓮人は一瞬驚いたけど、すぐに優しい微笑み
を浮かべて、手を握り返してくれる。
私は、手を繋いだまま言葉を紡いでいく。
「お父さんやお母さんにとっては、いくつに
なっても子どもかもしれないけど。だけど、
私はもう自分の力で人生を選べる。私は蓮人
の隣で生きていくことを選びたい。」
私の話を黙って聞いていたお父さんが、椅子
から立ち上がり、私たちを横切っていく。
これは、帰れってことなのかな…。零れそう
な涙を必死に堪える。



