「ちゃんとできない子にはお仕置きしねぇと

な。」

その瞬間、唇が短く触れ合うのを感じた。

キスじゃお仕置きじゃなくて、ご褒美だよ…

ってそういうことじゃなくてっ!

「私、ちゃんと名前呼びましたよっ!」

「オレの言葉ちゃんと聞いてた?」

どういう意味だろう?名前を呼べってことじ

ゃなかったのかな。

「もう一回だけ言うぞ。『蓮人』って呼ん

で?」

あっ。呼び捨てってこと…??

年上だし、ずっと「蓮人さん」って呼んでい

たから、いざ呼べって言われると恥ずかしい

な…。

「次できなかったら、デートはしてあげなー

い。」

意地悪く呟く彼の目が、私から逸らされるこ

とはない。

これは、逃げられなさそう…。

「れ、れん…と…?」

「聞こえないし、こっち見ろよ。」

両手で顔を挟まれて、必然的に視線を逸らせ

なくなった。

こうなったら、言うしかない!

「蓮人…!」

「よくできました。」

次の瞬間、お仕置きのキスよりもずっと甘い

ご褒美のキスが与えられた。

「もう…!いじわる…!」

それから私たちは瞼が重くなるまで、会えな

かった時間を埋めるようにただ笑い合った。