元カレと再恋愛ってありですか?

「まだまだ駆け出しの建築デザイナーだった私に、ここのオーナーがよく通っていた子だろ?って私のことを覚えていてくれてね。それで私のやりたいこととか、やってみたいデザインを実現させてくれたの。」
「・・・そっか」
「楽しかったなぁー。今思い出しても。大変だったけど、楽しかった。」
紗那は泣きそうになるのをこらえる。奏介も紗那と同じように店内のデザインにみいる。
泣きそうな紗那を見ないようにしてくれているのかもしれないと紗那は思っていた。

「思い出したかったの」
「・・・」
「あの頃の自分を・・・」
紗那はそう言いながら目を閉じた。

「がむしゃらに頑張ってたけど、あの頃の私は・・・もっと柔らかかった。今よりも断然柔らかくてアイディアにあふれていて・・・」
いつしか仕事に追われて妥協することも、諦めることも必要とされる現実に、立ち向かおうとするエネルギーもなくなっていたことに気づいた。

「思い出せた?」
奏介がそう言って紗那の手に自分の手を重ねる。