奏介は帰ってすぐにキッチンに向かった。
買ってきた食材を慣れた手つきで冷蔵庫へしまっていく。

奏介は自分が帰ってからのことも考えているのか冷凍庫には保存しておけるおかずをたくさん入れてくれていた。
アレンジの簡単なソースも数種類冷蔵庫に入っている。

「いつもごめんね」
紗那が申し訳なさそうにキッチンに入ろうとすると奏介が紗那の口元に手をかざした。
「それは言わない約束だろ。俺もここから仕事に行くようになったらなんかモチベーション上がってんだよ。俺こそ感謝だな」
「ちゃんと請求してね。」
買い物してきた食材は奏介が支払っている。
「うるさい。気が散るから部屋にいろ。」
「・・・」
紗那はそれ以上奏介の邪魔をしないようにリビングへ戻った。

リビングの横には制作途中の模型が置かれている。
紗那は少しでも早く自分がしっかりしないと奏介に負担になってしまうと、その模型に手を伸ばした。