何度も何度も繰り返される大丈夫という言葉と、奏介のぬくもりに紗那は少しずつ落ち着いていった。

「紗那」
「・・・?」
奏介に名前を呼ばれて紗那は後ろから自分の体を抱きしめるように座っている奏介の方を見た。

体の震えはいつしか止まっている。

「紗那」
「ん?」
「疲れてるときは休んでいいんだよ。」
「・・・」
落ち着く低い響きの声。
紗那はその声が心まで自然と入ってくるような気がした。
「頑張ることも大事だし。紗那が今までがんばってきたから今の地位とか信頼があるってわかってる。相当がんばったんだろうなって思ったら、なんか・・・その時の紗那を抱きしめたいとも思うよ。」
奏介が少し微笑む。紗那の体を自分の腕で包み込むようにして奏介は再び話始めた。