元カレと再恋愛ってありですか?

依頼主が打ち合わせに来る前のわずかな時間も紗那にとっては貴重な時間で、ほかにも進行中の建築物に関する進捗状況の確認や一日のチームのメンバーがためていた確認作業をこなしていく。
「木ノ内さん。新しい依頼入ってます。」
「・・・検討します。」
今紗那はかなりたくさんの依頼を引き受けていて正直キャパオーバーしている。それでも紗那のデザインを待っている企業が多く、紗那はその中から自分自身のデザインをいかせるような依頼を中心に引き受けていた。中には数年後までの順番を待つ企業もある。
紗那は会社の中でも一番の売れっ子デザイナーで、社長も紗那にどんどんと仕事を入れてくる。

社長の引き受けた仕事と、自分の行いたい仕事と、現在進行中の仕事・・・紗那は仕事に追われていた。

でも、デザイナーとして需要が無くなればそれはそれで死活問題になる。

だからこそいつも仕事におわれていることが紗那にとっての安心材料でもあった。

いつか自分のデザインが受け入れられない時が来たらどうしようと、不安でうまく呼吸ができなくなる時もある。

そんな時でも一人で深呼吸を繰り返し、大丈夫と自己暗示をかけながら走り続けている。