紗那の会社から電車で一駅の場所に奏介の店の建築予定地はあった。

周囲の建物、明るさ、眺め、人の流れ、地質、立地条件等、専門的な視点で紗那は見ていく。

立地条件はかなりいい。
すでに以前建っていた建築物は解体されていてさら地になっている。

ここで奏介の店を建てる。

紗那は持ってきたカラーサンプルの本を土地の中央に広げた。

ひと言に白と言ってもいろいろな白がある。

どの白がイメージに合うか考えていた。
通る人のファッションや世代、太陽の位置。車の流れ・・・

すぐにはわからない情報を紗那はその場にしばらくしゃがみこみながら観察して、白のイメージを膨らませていた。