奏介の手は今日も熱い。

紗那は食べ終えてからも涙が完全に止まるまで奏介に声をかけなかった。

なのにその懐かしいぬくもりにすべてが戻りそうになってしまう。

「そうだ」
紗那は気持ちを止めるために体の向きを変えて自分のバックの方へ向かった。

なかから一度忘れそうになり戻ったものを手にして奏介の元へ戻った。
「これ。この前の」
「ん?」
「ほら。ハンカチに泥つけちゃったから。」
「いいよ。そんなん」
紗那は奏介の手をとり、そこにもってきたものを渡した。

「返されても困る。男物だし」
「・・・なんか悪いな。」
奏介に紗那は笑顔で首を横に振る。