その言葉に紗那はすぐに立ち上がろうとして派手に転ぶ。
ずっと正座していて感覚がなかった足でもつれて転んだ紗那は顔面から派手に泥んこの地面に転んだ。

「すみません!1分ください!」
紗那はそう言って棟梁に笑顔を見せる。
「あったくあんたにはいつも負けるよ。」
棟梁も泥だらけの紗那を見て思わず笑う。

「ありがとうございます!」
紗那は顔についた泥も拭わずに棟梁に頭を下げた。


この仕事はきれいごとだけじゃなくて、時に地面に這いつくばって粘ることも必要だ。

こうして形にしたものが世間から認められることが紗那の大きな喜びだった。