紗那は妊娠後期に入り入院生活を送っていた。

妊娠中の定期健診で見つかった子宮の新しい腫瘍が赤ちゃんの成長を妨げたり、早産や胎盤剥離などを引き起こす可能性があり、絶対安静で入院生活を余儀なくされたのだ。
医師と相談をして出産は帝王切開にして、その際子宮も全摘出することを決めていた。

出産は妊娠38週に入るその日を予定していて、その日は奏介もレストランを休みにして紗那につきそう予定だった。

レストランが休みの日。奏介が朝支度をして紗那に食事を差し入れしようとしていた時、病院から緊急の連絡が入った。

胎盤剥離を起こして大量に出血し、危険な状況だと・・・


奏介は家を飛び出して病院へ駆けつけた。

ちょうど手術の準備を済ませた紗那と少しだけ会うことができた奏介。
涙を流しながら自分に赤ちゃんのことを託そうとする紗那に、入院生活を送りながら紗那がずっと覚悟を決めてきたことを初めて知った。