「今日も混んでたね」
「おかげさまで。この前テレビ番組で取り上げられてから大盛況だな」
「すごいね」
「どうも。」
「私も頑張らないと。」
「紗那」
がんばるという紗那の言葉に反応して、奏介が少し険しい表情になる。
「わかってる。無理はしないから」
「当然だ」
「あーお腹いっぱい。」
紗那はあっという間に奏介の作った料理を完食した。

「奏介がカロリー考えてくれてるからいいものの、今の食欲だと太っちゃいそう。」
紗那の言葉に奏介が笑う。
「だな。二人分とはいっても、紗那にばっかり栄養行きそうな勢いだもんな。」
「ひどい」
少し頬を膨らませる紗那が自分のお腹に触れる。
「すごい動いてる。」
「どれ?」
紗那のお腹に奏介が手で触れると、お腹の中から『トンっ』という胎動を感じた。