いつの間にか眠ってしまった奏介に、紗那は自分の膝にかけられていたブランケットをかける。

奏介はこうして中休みに帰ってくるとこのウッドデッキで眠ってしまうことが多かった。

紗那は奏介の寝顔を見つめてから、再び仕事を始めた。

ホームページを今は作っていて、仕事を再開するめどがたったら公開する予定にしていた。

奏介は仕事再開する時期はまだあとでもいいのではないかと言った。収入的には奏介一人のレストランの収入で十分贅沢できる生活が送れる。
それでも準備を進めているのは、奏介との幸せな毎日に新しいデザインがあふれて止まらないからだ。二人はマイペースに体調第一で仕事をすることを約束した。

今までは企業の建築デザインを専門にしていた紗那。一般家庭もデザインしてみたいと思うようになり、徐々に勉強を始めている。

心のどこかで、何もせずに、もしも子供ができなかったり、流産をしてしまったら、精神的に大きく崩れてしまうかもしれないという、紗那自身の保険としても仕事の再開は必要だと紗那は考えている。もちろん何も言わなくても奏介には紗那の考えはお見通しだった。