少しして、紗那はゆっくりと振り返った。

別れた時よりも断然紗那はきれいになっていた。

前よりも痩せて、儚い印象の紗那。

ずっとずっと会いたかった。
ずっとずっと想っていた。

その紗那が今、自分の目の前に言る事実が現実であるのか疑いたくなる。


でも、俺はもう逃げないと決めていた。

もしも、もう一度紗那に再会することができたらもう逃げないと決めたんだ。
離れない。あきらめないと決めた。

離れていた時間、いつもいつも再会を夢見て、心に誓っていたんだ。
だから、これがもしも夢だとしても、現実じゃなくても、俺は紗那を抱きしめて離さないんだ。

俺は振り向いた紗那の華奢な体を強く強く抱きしめた。