「紗那!」
その名前を呼びながら走って近づく。

「紗那!とまれ!」
俺の声に紗那はピタリと動きを止めた。

背中を向けたままこっちを見ようとしない。

でも立ち止まっている。

俺は一歩一歩がもどかしいほど、早く紗那のそばへ近付きたくて必死に走った。



「紗那」
すぐ近くまで駆け寄りもう一度その名前を呼ぶ。

「紗那」
心から離れていた間に募った想いを込めてその名前を呼ぶ。