元カレと再恋愛ってありですか?

紗那がそっと奏介の手を握り返した。
「今まで築いてきたものを手放すのってすごく勇気のいることだって、私も分かったばっかりだけどね」
立ち止まることが怖くてただただがむしゃらに進んでいた時の自分をおもいだす紗那。
その時に立ち止まる勇気をくれたのは奏介だ。
「その場から離れることもすごく勇気のいることだと思うけど、近すぎて見えてないものが見えるかもしれないよ?」
「・・・」
紗那の言葉に奏介が真剣な表情になる。
「それに奏介が築いてきたものはちゃんとGREENに根付いてる。私はシェフじゃないからわからないことが多いけど。厨房に立つ奏介の背中を見ながらきっとほかのシェフに伝わってるよ。その気持ちは。」
「そうかな」
「うん。絶対に伝わってる。だってGREENの雰囲気も、料理の味も大好きだよ?私。奏介一人ではできないんじゃないかな。あの雰囲気をつくることも、味をつくることも。」
「・・・」
奏介は紗那の手を握ったまま黙ってしまった。

きっと紗那の言葉を自分なりに置き換えて考えているのだと思った紗那は奏介の言葉を待った。