二人は大学生になった時、お互いの両親に付き合っていることを伝えていた。
紗那の両親は一人娘と付き合っていくうえで、奏介にしっかりと責任をとれる行動をするようにとずっと言っていた。お互いの一人暮らしの部屋へ泊ることも、旅行へ行くことも奏介は必ず紗那の両親に許可をとってくれていた。その時も、ちゃんと責任をとれる行動をといわれていた奏介。

奏介の中では大学を卒業して、早く社会人になり生活を安定させて、紗那と結婚するというもう一つの目標があった。

責任と夢の間で揺れる奏介。

紗那と奏介は付き合って7年が経っていて、紗那には悩んでいる奏介の背中を押すことは簡単だった。その方法を知っていても、なかなか行動に移せなかったのは・・・それだけ奏介と離れたくはなかったからだ。



なかなか離れる決心がつかないまま、奏介は悩みをかき消すかのようにアルバイトに打ち込み、就職活動も全力で取り組んでいた。実際に内定をいくつかもらっていた。