「…………とにかく
今日はあたしの家に泊まりなさい。いいわね」


返事も待たずに
さゆ姉さんはそのまま去っていった


「……相変わらず、優しいなぁ
さゆ姉さん」


くすくす笑いながら、ごみをまとめる


きっと
シュカさんあたりに私の様子を聞いたんだろう

先週より、怪我がひどくなってるのを
知った姉さんは
いてもたってもいられなくなったんだ


「…」


さゆ姉さんは普段からあんな感じで

口調とか態度がきついから
いつも誤解されがちだけど

本当はすごく優しい


多分、さっきのも

昨日の今日だし

帰ったら、また
私が暴力を受けるかもしれないって
思ったからだと思う



いくら殴られようが、蹴られようが

泣きもせず、助けも呼ばず、逃げようともしない

そんな私を姉さん達は不思議がった



『家から離れなさい』

『警察に相談しなさい』

『どこでもいいから逃げなさい』

『なんなら私のとこに来なさい』



皆、口々にそう言った



だけど私はそうしなかった