そんな私を見て
いつきさんは困ったように息をついて
優しく私の頭に手をのせた


「ひなたちゃんは
本当に甘えるの下手なんだね」


…………だって
今まで誰かに甘える必要なんてなかった

ひとりでも平気だったから
誰かに頼らなくたってなんとかなってたから

なのに

安心させるように、何度も
頭を撫でてくれている
いつきさんに視線を向ける

慈しみに溢れたその笑顔が、行動が
この人の優しさが私を変えた


「…………いつきさんの家に来てから…」


いつきさんと一緒に
『普通』の日々を過ごす内に、段々


「……一緒にごはんを作るのが楽しくて
一緒に食べるごはんが美味しくて」


そばに誰かがいる心強さや安心感を思い出した


「……。いつきさんと…
……また一緒にごはんが食べたいです」


あったかくて、居心地が良くて


「………仲直り、したいです」


それがないと不安になってしまって


だから、いつきさんがいない間



ずっと、心細くて、寂しかった



……



「…ふ……はは……っ」

「…?」

「……ごめん。その言い方が可愛くて…」


呟いた言葉に
目を丸くしてたいつきさんが
なぜか急に吹き出して

そんないつきさんを不安気に見返す

いつきさんは笑いを噛み殺しながら
そんな私を安心させるように
また、私の頭を撫でる