たとえば、こんな人生も

「じゃあ、まこさん
よろしくお願いします」

「分かった。無理しないようにね」

「ありがとうございます」


ぱたんと玄関のドアが閉まる



……



「……まこちゃん」

「あーあー、そんな顔しないの」


……また、ぎこちない態度しか返せなかった…


しょんぼりと肩を落とす私

そんな私の頭を慰めるように撫でて
まこちゃんは苦笑を浮かべる


「大丈夫だよ。いつきだって
ちゃんと分かってる」

「…」

「ほら、さっそくお菓子作りしよ
しばらくいつきもいないし
好きなだけ練習できるよ」

「……うん」


気を取り直すように明るく笑って
まこちゃんは私の手を取ってキッチンへ向かった