――…



「……ねぇ、ほら」

「…………先週よりひどいよ」



遠目にこっちを
ちらちら見てくるクラスメイト

ひそひそと小声で話しているけど
耳の良い私はその会話もしっかり拾ってしまう


……やっぱりだめか

マスクつけてくれば良かったな


心の中で苦笑いを浮かべる



「…あの子のあれ、自分でやったみたいだよ」

「ん?ボクシング習っててじゃないの?」

「え?元彼にやられたって聞いたよ」

「ええ?裏で危ないバイトしてて
それでって……」



…うーん

憶測が憶測を呼んでる


何が楽しくて
自分で自分を痛め付けるって言うんだろう

それに

こんなひょろひょろの
見るからにひ弱そうな私がボクシングって…


まとまりのない内容に
今度は本当に苦笑を浮かべながら
私は授業の準備を始めた




……まぁ
危ないバイトしてるのは当たってるかな