「……いつきさんは、豪勢な暮らしをしてるんだろうなって思ってました」


「よく言われるけど、全然そんなことないよ
金銭感覚とかは価値観とか
ひなたちゃん達と変わらないから安心して」


「…ごはんも?」


「基本自炊かコンビニです」


茶目っ気たっぷりに笑って答えたいつきさんに
私は小さく笑い返す


なんだか親近感が湧いて

気を張ってたけど
体から力が抜けていくのが分かった



「さて、ひなたちゃんの部屋はこっち
比較的狭い部屋にしたよ。その方がいいもんね」

「……かなり、広いですね」


案内された部屋を見て、ぽつりと呟く

いつきさんは苦笑い


「ごめんね。これでも
ここが一番狭いんだ」


「必要なものあったら言って
とりあえず、疲れたでしょ?
少し休むといいよ」


「俺はリビングにいるから」



……
……



「…」


……いつきさんがいなくなって

広々とした部屋にひとり取り残された私は
しばらく茫然とその場に立ち尽くしていた



「……とりあえず、荷物片付けよ」