「俺もだよ。ひなたちゃん」


「嫌々申し出てるわけじゃない
命令されたわけでもない」


「俺がそうしたいって思ったからそうしてる
だから、頷いてくれると嬉しい」



「……」



……それでも

どうしても躊躇う私にいつきさんは



「なら、とりあえず1ヶ月」

「……1ヶ月?」

「1ヶ月、俺のとこにおいで」

「…………1ヶ月」

「そう。1ヶ月経って
君の父親や君の怪我の状態が良くなってたら
家に帰すから」

「……」



……いつきさんもオーナーも

ちゃんと私の気持ちを考えて

その上でそう言ってくれてる



それ以上は引いてくれる気配はない



……。

………………このあたりが妥協点なんだろう

妥協点なんて表現するのもおこがましいけど




「……分かりました
いつきさん、よろしくお願いします」



……正直、相手が誰だろうと

迷惑をかけることには変わりないから

抵抗はあるけど



1ヶ月なら……


長いようで短い
そのくらいの期間ならと


私は頷いて、頭を下げた



「うん。よろしくね」



いつきさんは
変わらず穏やかに笑って私に頷いた