あまりの気持ち悪さに滲む視界で見上げれば
すごくびっくりした顔のいつきさんが
そこに立っていて


「ごめん。すごい音がしたから勝手に入った」


慌てた様子で私に駆け寄ると
着ていた上着を脱いで私の体に被せる


「……その体……いや、それは後だな
気持ち悪い?」

「…」


裸の私

その体の至るところにある傷や痣を見て
いつきさんは厳しい表情を見せた

だけど、それどころじゃないと

私の状況を見てすぐ判断して


こくりと頷けば
いつきさんはすぐに私を抱き上げて

大判のタオルとバスローブを持って
ベッドまで運んでくれた




「吐きそう?」

「…………吐きそう」


素早く私の体を拭いて
バスローブを着せてから

いつきさんはずっと口元を押さえる私に
袋を差し出した


「はい。いいよ、出しちゃいな」

「…」


袋に戻す


といっても
昨日から何も食べてないから

出てくるのは胃液だけ


「……けほっ」


戻すものなんて何もないのに
嘔吐感だけは止まらなくて

何度も何度も胃液だけ吐き出す