自分の事に誰かを巻き込むことが何より嫌なのに

仕事中は周りに手間を掛けさせないように
ずっと気をつけてたのに


「可愛い女の子と一緒にいられて
俺は得してるよ?」

「お仕事……」

「ああ、いーのいーの
ちょうど息抜きしようとしてたから」


気を遣って
いつきさんは笑ってそんな風に言ってくれるけど


……絶体うそ
さっき、電話で仕事の話もしてたもん


「…あの、私の事は放って置いていいので」


さっきからずっと
いつきさんは私の傍を離れる気配がない


「あ、もしかして俺が傍にいるの嫌?」

「嫌では……
でも、お仕事たくさん……」


ちらりと、机に置きっぱなしの
いつきさんの鞄に視線を向ける

中にはノートパソコン
活字がたくさんの
難しそうな書類がいっぱい入ってる


「いーの。俺、仕事が早い男だから
あんなのすぐ終わる」

「…」


それでも不服そうに顔をしかめる私に
いつきさんは苦笑いを浮かべて


「分かった。じゃあここで仕事する
それならいいでしょ?」

「…それなら」


ようやく頷いた私にいつきさんは笑って